華やかなステージパフォーマンス、トーク、様々なジャンルの表現方法やグルーヴの違い。
生演奏やレコーディング等で求められるこれらのスキルは、実は音大の授業だけでは学べません。
例えば、ストイックにクラシック音楽を追求する楽壇の中では、どちらかといえば忌避されることすらあります。
音大卒業生は「演奏」という学問を「勉強」してきた、学者に近い存在。
「これから孵る卵」である若手奏者は、プロの先輩やお客様たちに現場で育てられることで成長します。
実は、音大とプロ養成所とは少し存在が異なります。
プロになりたいという志を持って小さい頃から血の滲むような努力をしてきた学生もいますが 意外と、プロになるつもりなく音大入学する学生も多いのです。
こう書くと、えっと驚かれる方もいらっしゃるかと思いますが、 例えば一般的に、将来的な展望を明確にもって大学の学部を選択する大学生ばかりかというと決してそうではないのはご存知の通り。
同じように「音楽が一番好きな教科だから」というような感じで、高校2~3年になって急に音大受験を志望して、楽器の先生を驚かせ悩ませたエピソードはよく聞く話です。
また、小さい頃から努力を重ねて音大を卒業した人でも、「演奏する以外のことは全くわからない」「レッスンや学校で勉強した以外の音楽は全く聴いてこなかった」という人や、「他のジャンルを『簡単だ』と軽視してしまい、結果、質の低い演奏になってしまう」といった現象がみられたり。
「社会経験に乏しいので、失礼をしてしまったり、クライアントの要望がちゃんと伝わらない」という面など、意外と普通の「新社会人」と変わらないのです。